2026/11/08(日)
令和八年十一月八日 神職からのメッセージ
― 見えないところで育つものを、大切に ―
皆さま、おはようございます。
立冬を迎え、暦の上では冬へと歩みを進めました。日曜日の本日、お休みの方も、お仕事に励まれる方も、それぞれの場所で、心穏やかなひとときを持たれますようお祈り申し上げます。
本日は、旧暦九月二十九日。「一粒万倍日」と「戌の日」が重なる日です。一粒万倍日は、一粒の種が多くの実りへと育つという意味合いから、新しいことを始めるきっかけとして親しまれてきました。
この暦の言葉に触れると、私たちはつい、将来の大きな成果を思い描きたくなるものです。今日はその実りを支える、土の中の営みにも目を向けてみたいと思います。
種をまいても、すぐに芽が出るわけではありません。土の中で水を吸い、根を伸ばし、地上へ顔を出すための準備が進みます。外から見える変化が乏しい間にも、育ちの時間は続いています。
私たちの日々にも、これに似た時間があるのではないでしょうか。
学び始めたことが、なかなか身につかない。心を込めて働いていても、手応えを感じられない。大切な人との関係をよくしたくても、思うように言葉が届かない。そのようなとき、目に見える結果だけで、ご自身の努力を量ってしまうことがあります。
けれども、振り返れば分かることもあります。以前より丁寧に人の話を聞けるようになった。失敗した後に、落ち着いてやり直せるようになった。分からないことを、素直に尋ねられるようになった。そうした変化も、日々を重ねて育った、大切な力です。
今日は、ご自身の中で静かに育っているものを、一つ探してみてください。そして、それをこれからも育てるために、何ができるかを考えてみましょう。十分間の練習でも、一ページの読書でも構いません。無理なく続けられる小さな営みを、一粒万倍日の「種」としていただければと思います。
また、今日は戌の日でもあります。この日を機に、家族のことや、これから迎える命のことを思い、祈りを捧げる方もいらっしゃるでしょう。ご家族の形や置かれている状況は、それぞれに異なります。喜びの中にいる方も、心配を抱えている方も、大切な存在を静かに思う一日となりますよう願っております。
身近な方を大切に思う気持ちは、日々の言葉や行いにも託すことができます。
「何か手伝えることはありますか」
「今日はゆっくり休んでください」
「話したくなったら、聞かせてください」
相手の気持ちをすべて理解することは難しくても、気にかけていると伝えることはできます。すぐに答えを出そうとせず、その方の話す速さに合わせて耳を傾ける。そのような時間が、安心して過ごせる場所をつくっていくのでしょう。
明日十一月九日、十六時二分には新月を迎えます。今日は、その直前に当たる日です。[国立天文台「今月のこよみ」]
月の姿を心の営みに重ねるなら、今日は、まだ言葉になっていない願いに耳を澄ます日にしてはいかがでしょうか。これは月の動きから運命を読み取るということではなく、空の巡りを手がかりに、自分の内側を見つめるための受け止め方です。
「本当は、どのように暮らしたいのだろう」
「これから、誰との時間を大切にしたいのだろう」
「忙しさの中で、後回しにしている思いはないだろうか」
紙に一行書いてみるだけでも、ご自身の願いが少しはっきりするかもしれません。人に見せるための立派な目標でなくてよいのです。「家族と落ち着いて食事をしたい」「好きなことを学び直したい」「朝を慌ただしく過ごさないようにしたい」。暮らしに根ざした願いを、どうぞ大切になさってください。
神前で手を合わせる折にも、その願いを、今の言葉でお伝えいただければと思います。感謝も、迷いも、決意も、心の中で一つずつ言葉にする。その時間を通じて、ご自身が大切にしているものに気づくことがあります。
そして、祈りを終えた後には、願いに近づくための小さな行いを一つ選んでみましょう。家族との時間を願うなら、今夜の予定を少し整える。学び直しを願うなら、気になる本を手に取る。心の落ち着きを願うなら、身の回りの一か所を片づける。祈りを日々の行いへ結ぶことで、明日への歩みが具体的になっていきます。
思うように動けない日には、休息も大切にしてください。疲れた身体を温め、食事を取り、安心できる方と話す。そうしてご自身をいたわる時間も、これからの日々を支える土台になります。
本日は、見えないところにある支えにも、思いを寄せてみましょう。
食卓に届くまでの多くの人の働き。離れていても気にかけてくれる方の思い。幼い頃に教わり、今も自分を助けている言葉。普段は意識せずにいるものが、私たちの暮らしを支えています。そのつながりに気づいたとき、日常の景色が、少し違って見えることがあります。
夕べには、今日受け取った親切や、ありがたかった出来事を一つ、思い返してみてください。できるなら、その感謝を相手へお伝えください。皆さまの言葉が、また誰かの明日を支えることになるかもしれません。
本日の祈りを、ここにお届けいたします。
「日々いただく恵みに気づき、見えない支えに感謝し、今日できる善き行いを、心を込めて重ねてまいります。」
皆さまが、ご自身の歩みを大切にできる一日でありますように。大切な方との間に、温かな言葉が交わされますように。心配を抱える方には、安心して頼れる人とのご縁がありますように。
本日も、皆さまのご健康と道中のご安全、ご家庭のご平安を、心よりお祈り申し上げます。
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2026/11/07(土)
本日もご縁をいただき、
心よりありがとうございました。
人の気持ちに敏感な方ほど、
誰かの悲しみや不安、
怒りまでも、
知らず知らずのうちに
自分の中へ抱え込んでしまうことがあります。
それは、相手を理解したい、
力になりたいという優しさから。
でも、
共感することと、
相手の重さを背負うことは違います。
スピリチュアルでいう「プロテクト」も、
相手を拒絶するためではなく、
自分と相手の境界を
大切にする意識なのだと思います。
誰かと関わった後、
理由の分からない重さを感じたら、
「これは本当に私が
引き受けるべきものだろうか。」
と問いかけてみてください。
愛は、すべてを背負うことではありません。
自分を守りながら、相手を大切にすることも愛です。
本日もご縁をありがとうございます。
愛と光と感謝を込めて
藍那
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