2022/11/20(日)
「その日の深夜、トイレにいきたくなって私は目覚めた。ゲルを出、数十メートル先のトイレへと急ぐ。途中、思わず足を止めて、目の前に広がるなーんにもない世界に見とれてしまった。半分より少し欠けた月が出ていて、広がる夜は暗くなかった。夜は淡いグレイだった。見渡すかぎり何もなかった。遠く、石ころみたいにゲルがふたつあるきりだった。なんにもない大地に、犬の遠吠えが響いてやんだ。風がゲルの屋根をふるわせるぱたぱたいう音がひっきりなしに聞こえた。ものの見事に、いさぎよいくらいなんにもなくて、ああものすごい贅沢な景色を私は見ているんだと、淡い色の夜の中で、はじめて思った。」
─角田光代さんの著作「いつも旅の中」より抜粋しました。たくさんの旅の記録が記されている、まるで自分も旅行しているような気分が味わえる本です。行動制限が多い中、旅行に行きたくても行けなかった人も多いのではないでしょうか。この本は、一瞬で海外に連れて行ってくれる本です。角田光代さんの一番有名な著作は「八日目の蝉」だと思います。これは映画化されていて、動画で観ることもできます。妻子持ちの彼との不倫で悩んでいる人に、ぜひ観てほしい映画です。
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